校内研修

 第40回 沖縄県へき地教育研究大会島尻大会
 学校別分科会第4分科会 研究発表会
 平成19年10月26日(金)

■学校別第4分科会記録

研究主題 「豊かな心をはぐくむ教育活動の工夫改善」
〜地域との関わりを生かした活動を通して〜
公開授業 小学校1・2学年 道徳 「いつもありがとう」 T1:高良教子 T2:宮城優子
     3・4学年 道徳 「感謝の気持ち」   広川悦子
      ※ゲストティーチャー 安里和矢氏(村社会福祉協議会福祉活動専門員)
     5・6学年 道徳 「思いやりの心」   島袋成良
中学校1・2・3学年 総合的な学習の時間 「慶良間太鼓の文化を知る」
      T1:上原進 / T2:その他中学職員
      外部指導者:新垣徹(慶良間太鼓同志会会長)
研究発表
(1) 発表概要
@ 主題設定の理由
本校は、小学生29名、中学生27名、計56名の小規模・小中併置校である。
21世紀に展望される教育課程のあり方をめぐり教育課程審議会答申では、教育課程改訂の基準改善のねらいの一つとして「豊かな人間性や社会性・国際社会に生きる日本人としての自覚を育成すること」をあげている。それを受け、本校は教育目標を「よく考え・たくましく・心豊かな子」とし、「豊かな心を持ち、仲良く協力する子」の育成をめざし日々の教育活動を推進している。
本校の児童生徒は、素直で明るく元気があり、愛汗活動や委員会活動を通して、異年齢交流が自然な形で行われており、各行事において生き生きと活動している。しかしその一方で、少人数のため集団生活を通しての刺激に乏しく、コミュミケーション能力や表現力にやや欠ける面が見られる。
昨年度本校では、体験から生まれる学びの喜びや達成感・成就感を味わうことを通して、弱者をいたわろうとする共生の心、友達・他者を思いやる心、感謝の気持ち等の豊かな心の育成をめざし、研究を進めてきた。地域との関わりを生かした体験活動をメインに位置づけたことで、多くの体験を通して渡嘉敷島の自然や地域の人達のよさを実感し、めあてを持った活動を行うことができた。しかし、この体験的活動は身近な地域の自然や人との関わりの中で行われていることから、児童生徒にとって馴れ合いになる場面が見られることもあり、友達や地域の方に対しての言葉遣いやあいさつ、感謝の気持ち等の表現が不十分であるという課題が挙げられた。
今年度はこれらの課題を受け、一人ひとりが体験等で育んだ豊かな心を学校生活や家庭・地域における日常生活で発揮できるための学習指導の工夫・改善、充実を図っていきたい。また豊かな体験をもとに、こころに響く「道徳の時間」の指導の充実にも目を向けたい。
そこで、昨年度に引き続き「豊かな心を育む教育活動の工夫・改善」を校内研修のテーマとし本校の教育目標を具現化させるため、各教科や道徳・特活・総合的な学習の時間との関連を図りながら、地域や人の関わりを生かした活動の工夫・改善に重点をおき、研究を進めることにした。      
A 研究仮説
地域との関わりを生かした学習活動において、体験的な活動を各教科・道徳・特別活動・総合的な学習の時間との関連を図り、充実させることにより、感謝や思いやりの心、自然や文化を大切にする心が生まれ、それを日常生活において発揮できる豊かな心を持った児童生徒を育てることができるであろう。
(2) 研究の実践
@ 研究主題についての理論研究
A 仮説検証と実態調査のためのアンケート作成と実施
B 各教科・各領域の授業の充実
C 地域・郷土の自然、文化、人との関わりを生かした活動の充実
ア地域素材・人材を活用した総合的な学習の時間の実践の取り組み
 ○地域の先輩に学ぶ進路学習会(中) ○職場体験(福祉センター)(中) ○デイキャンプ(追い込み漁)(中)
 ○風神太鼓(中) ○スノーケリイング(小) ○田植え(小)
イ 小中合同体験学習
 ○愛汗活動  ○エイサー ○平和学習会  ○朝のあいさつ運動 ○朝の読書活動
ウ 集合・交流学習
 ○奈良白鳳中学校との1日交流(中)  ○セカンドスクール(小) ○豊見城中学校にて1日体験学習(中)
 ○光洋小学校にて1日体験学習(小)
エ ボランティア体験活動    
 ○独居老人宅清掃活動(中) ○港・海岸ゴミ拾い(小) ○車イス・アイマスク・高齢者疑似体験(小)
 ○高齢者とのグラウンドゴルフ大会(小中)
オ 地域行事への参加
 ○渡嘉敷浜下り(ハーリー) ○中高交流事業進路学習会(中) ○渡嘉敷まつり ○渡嘉敷一周マラソン大会 ○大綱引き
D 学級経営の充実と体験活動を生かした授業の工夫・改善
E マルチメディア機器操作と活用方法の研修
F テレビ会議システムを活用した交流学習の実施
(3) 研究の成果と課題
@ 成果
ア〈児童生徒〉
学校行事では,地域の方々から直接指導を受けることで,あいさつや感謝の心の大切さ,伝統を受け継ぐことの素晴らしさを感じることができた。
地域行事に参加することで,地域の自然の豊かさや文化の大切さを肌で感じ,地域への思いを深めることができた。
小中合同体験活動では,作物を育てる喜びを味わい,異年齢交流を通して,人との関わり方を学ぶことができた。
道徳の授業を通して、お世話になっている身近な人達に感謝しようとする心情が高まり、それを伝えることができるようになってきた。
イ〈教師〉
体験活動の振り返りや日常生活の体験を生かす工夫をしたことで,児童生徒の心情が把握でき,授業や指導に生かすことができた。
体験活動をもとに道徳の授業を充実させるため、小学校では「総合単元的道徳学習全体実践図」を作成することで、見通しをもって取り組むことができた。
A 課題
体験活動と道徳の学習を関連させるために,見通しと計画性を持った指導のさらなる充実が必要である。
体験活動を授業に生かし,心豊かな児童生徒の育成を図るため,事前・事後指導の工夫・改善が必要である。
天候に左右されやすい行事などは,綿密な活動計画の立案が必要である。
B 対応策
課題を含め、今後、地域との関わりを生かした活動と各領域・各教科の内容を深めていけるよう、年間 指導計画の見直しを図る。
はぐくまれた豊かな心を日常生活において発揮できるよう、学校・地域・家庭の連携を深める。
質疑応答
(1) 南風原町立南星中学校  村島雄太
奈良県白鳳中学校との交流会をなさっていますが、それ以外に、他の学校との交流などはどのように行っているか。また、一番大変だったこと課題と成果はどうか。
応答:中学部 銘苅律子
白鳳中学校との交流は、今年度から取り組んでいる。また、地域の講師などの人選については、生徒にとって身近な存在である方々を主に人選している。
応答:教頭 池村康男
白鳳中学校以外に、二学年では静岡県の川根中学校との交流を行っている。また、中学部としては、豊見城中学校との一日交流学習を行っている。3年生においては、豊見城中学校で実施した実力テストを提供してもらい、本校でテストを実施しており、席次を通しての学力の把握に努めている。
(2) 石垣市立宮良小学校 仲本英男先生
宮良小学校では、総合的な学習の時間では1年から6年生まで、系統的な学習課題を設定し取り組んでいる。地域行事などの参加も多い。行事をすることでの負担が大きい。その成果もまた大きいと考える。ひとつひとつの行事参加の際の準備時間の負担・課題がある。渡嘉敷小中学校では、どうか。
応答:小学部 宮城優子
課題を決めて取り組んでいる。阿波連小学校とも連携して集合学習を行っている。また、1年生から6年生まで同じ課題を持っておこなっている。授業時間がどうしても削られる場合があるので、補習学習などで対応している。
(3) 八重瀬町立具志頭中学校 宮平圭一郎先生
平和学習での取組について、毎年同じような取組をしてしまうと、マンネリ化してしまうことがある。渡嘉敷小中学校では、毎年、同じ学習を行っているのですか。工夫したことを教えて下さい。
応答:小学部 宮城優子
本校では、平和学習を小中連携で行っている。今年から詩の朗読や読み聞かせを行っている。大切な時間なので、取り組み方法を担当と児童生徒で考えて、毎年行っている。
指導助言
<指導助言>那覇教育事務所 指導主事:長嶺肇
小学校1,2年生の授業について。授業に入る前から、授業者と児童が声を合わせ気持ちを高めていた。直前までウォーミングアップがなされていた。発表にむけての気持ちが高められていて、すばらしい。T1T2の授業者の役割がしっかりとしていた。とくにT1の授業者の明るく、やさしく語りかけは、児童をよく引き付けておりすばらしかった。ミニ劇場についても、内容理解を図ることができていた。演劇を通しての語りかけの工夫がされていた。1,2年生とは思えないほどの集中力があり、それまでの授業づくりも含めて、非常に豊かな授業であった。その背景には、日頃の掲示活動の成果があるのでは。児童一人ひとりがとてもよく互いを見ていることがわかる。その日々の活動があるので、児童の教材への理解が早い。
小学校3,4年生の授業では、ゲストティーチャーが活用されていた。小学校5,6年生でも、教材の準備がしっかりとしており、「価値にふれる」ことができている。
中学校では、ただ単に太鼓の練習するのではなく、演技を成功させるために一人一人目標を設定して行っている。演技を作り上げていく過程での、一人ひとりの目標を設定し、それを受けて全体テーマ目標を設定している。外部指導者の関わりにしても、準備・演技・片付けの一連の流れの中での意識付けを大切にしていることがわかった。教育的な視点が含まれていて、総合的な学習の時間として成り立っている。事前に、伝統を伝えるための講話も、内容を深めさせている。授業最後のミーティング、生徒の振り返りもテーマをおさえたものとなっている。
今後、これらの成果を、日常的に発揮できるところまで、取り組んでほしい。
<講評>沖縄県教育庁義務教育課 指導主事:飯島正仁
校舎など、教育環境がすばらしい。それは保護者や地域の方の支えがあると感じている。
小学校1,2年生の授業では、初任者にとっても、とてもよかった。授業開始前の取り組み、授業への集中度など、手立ての充実を感じさせる。T1T2の役割が大変よかった。
3,4年生、5,6年生では、板書の工夫がありよかった。
研究紀要ですばらしいことは、地域との関わりがあり、研究と実践の流れができている。研究と実践が、しっかりと結びついており、評価のサイクルがしっかりとしている。地域に生きる活動だけでなく、地域を生かす活動も行っているなと感じた。ここまでできているのはすばらしい。
学年縦割りに関しては、お互いの効果ができている。東京など都市部でも、学年縦割り活動が再評価されている。主たる目的は、上級生を育てることにある。下級生に対して、どうしたら聞いてくれるのか、一緒に活動してくれるのかを上級生が悩みながら、成長していくこと。本校でも、それが大切にされている。
本校のみならず、へき地教育で実践されていることは、これからの教育の方向性であり、教育の先端を行っている。自信を持って取り組んでほしい。
お願い。様々な体験活動をしているが、ここの児童生徒の変容についての検証を、しっかりとしてほしい。児童生徒の作品について、教師のコメントがあったほうがよい。コメントは、その生徒だけではなく、周囲の生徒や保護者・地域への発信でもある。
県の読書担当として。子どもたちの読書について(紀要にかかれていないが)読書カードや読書紹介、他の活動との関連が垣間見れた。たとえば、「秋を見つけよう」の作品のそばに、秋についての本がさりげなく置かれている。水槽のそばにも、関連図書がさりげなく置かれている。日常の読書指導の充実に感謝申し上げます。
■学校別第4分科会風景